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1950年からワイン造りを行っている生産者です。ですからワイン造りには熟練しています。そんな当たり前の事をなぜいうのかと言うと、「ナチュール」と記載したからです。ナチュール・ワインを売りにした生産者の多くに、生産者としての経験の浅い方が少なからず存在しております。
私がナチュール(自然派)の素晴らしさを知るきっかけは、ブルゴーニュのドメーヌ・ルロワでした。ロワールのニコラ・ジョリーもそうです。両者とも伝統的な造りの中で、ブドウ栽培・醸造方法などを工夫し感動的な味わいのワインを造りだしています。「どうしたらこんなに美味しいワインが造れるのだろう?」と疑問に思ったら、ビオデナミなどちょっとオカルトチックな造りをしていたのです。しかし、味わい・色調など従来のものと別物ということはなく、美味しさに磨きがかかったものです。
20年ほど前ころから、南仏・ボージョレなどで多くの自然派といわれる生産者が見受けられるようになり、市場でも人気を博すようになります。
脱サラをして「更に自然なワイン造り」を試みる生産者がその後世界中で出没しました。一躍脚光を浴びる者も多く現れました。しかし、とてもワインと呼べないような粗悪品も平気で輸入されています。つまり経験不足で、醸造を失敗しちゃうのですが 資金不足から そのようなワインも出荷するのです。「これが自然なワインなのです」と言って。。。ヨーロッパでは拒絶するのですが、日本では「これが自然なワインなのか!」「体に良さそう」などといって受け入れられています。不思議な状況です。
この生産者が造るワインは、ナチュールなれど 味わいは従来からのワインに準じており 濁っているとか変な香りがすることはありません。ただSO2無添加であるので 果実味はフレッシュで滑らか 旨味が包み込まれています。ルロワ、ジョリーなどと同じです。
ブランは、経験から予期せぬ発酵を回避するため少量のSO2を少量添加したそうです。SO2無添加至上主義では無い生産者です。
ドメーヌのワインの中で最も若く早飲みスタイルであることから、古いフランス語で "小さな狼 "を意味する≪ルピオ≫と親しみを込めて名付けられました。
土着酵母を使用しコンクリート・タンクで3日間のマセラシオン。発酵の途中で果皮を抜き取り、果汁は発生する炭酸ガスによって保護される。フレッシュな果実味を残すため年内に速やかに瓶詰めされる。SO2無添加。
色は深みのある紫色。香りは表情豊かで黒スグリ、柔らかなヨーグルト、スパイシーさもある。
味わいはフレッシュさの中にしなやかで甘美なボディとグリップがあります。軽く冷やしても楽しいワインです。