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ソーヴィニヨン・ブラン発祥の地ロワール。その中心となるサンセールに、最高のソーヴィニヨン・ブランの造り手がいる。パスカル・コタとフランソワ・コタ。世界中のソーヴィニヨン・ブラン生産者の目標となっている。
パスカルとフランソワは従兄同士。2人の父は共同でドメーヌを運営していた。その造りをそのまま引き継いだから、味わいに大きな差はない。ラベルも似ている。パスカルは今も父フランシスのサポートを受けている。サンセールにはモダンな生産者が増えているが、パスカルの造りは昔からの伝統を守っている。
ブドウは完熟を待って遅摘みされる。もちろん手摘み。2010年のモン・ダネの畑は10月中旬に収穫した。古典的なバスケット・プレスで圧搾し、古い樽で発酵し熟成。月の満ち欠けに合わせて、瓶詰めを行う。ビオディナミが話題になるはるか前から、有機栽培や古典的な醸造を続けてきた。出来上がるワインは、ミネラル感とフレッシュ感にあふれながら、ふくよかな果実味と、メロンやミントの香りがある。サンセールが早飲みの白ワインという固定概念を覆される。ピノ・ノワールから造るロゼは並みはずれた味わい。ラ・グランド・コートもレ・モン・ダネもアペラシオンの最高水準を行く。
ロバート・パーカーはかつて、ワイン・アドヴォケイトで「コタが造るものより偉大なサンセールはない」と語った。飲めばその言葉の意味がわかるだろう。