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【2019年ヴィンテージについて】
冷涼な春に続き、暑く乾燥した夏が訪れた2019年の収穫は、タイミング的には一般的な9月下旬の日程にとどまり、ブドウの熟度と凝縮度においては特筆すべき水準に達しています。
2018年~2019年にかけての冬は類稀な穏やかな気候で、凍結や霜は殆ど見られないほどでした。
そのため3月末にはブドウの樹々は早くも息吹の気配を感じさせ始めました。
強運なことに4月、5月はむしろフレッシュな気候たっだので、芽吹きのタイミングやその後の成育速度は修正され、6月15日頃に開花のピークを迎え、9月25日前後に収穫になるだろうと言われました。
開花のタイミングはまちまちで、雷雨の影響で花が落ちてしまったり、所々結実に至らない果粒を含むミルランダージュの房がつきました。
しかし、開花期を過ぎると好天に恵まれ、ブドウはぐんぐん育ち、葉や枝が茂っていきました。
7月、8月は暑くて乾燥していましたが、7月末の雷雨が水不足のストレスからブドウを守ってくれたので、成長障害を起こすようなこともありませんでした。
8月末にブドウは熟し始め、その数週間先までの天候予測を見たとき、当初9月23日に予定していた収穫を、ほぼ一週間早めることを決断しました。
9月に入るととても暑くなり、ブドウの熟度は目に見えて進んでいきました。
収穫は9月17日に開始し、27日にオート・コートで終了しました。
2018年と同様に醸造所に運び込まれたブドウは非の打ちどころなく健全で、選果はほとんど必要ありませんでした。残念だったのはコート・ド・ニュイでは、2018年の収穫量に比べて約3分の1ほど減少してしまったことです。これには微妙な開花期と夏の雨量の少なさが要因に挙げられます。
賞賛に値すべき熟度、完璧なる健全さ。そのようなブドウから醸されたワインは、リッチであると同時にピュアでフレッシュさがあり、見事なバランスになっています。
2019年を過去のヴィンテージと比較するなら、2015年や2018年の太陽の年、完熟に達したブドウの持つ光や輝きを感じさせるワイン、充実した酒質がしなやかにタンニンを包み込み、味わいの凝縮が傑出している年と言えるでしょう。
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